地域に密着したチーム組織

日本のプロスポーツチームといえばスポンサーが付き、選手は報酬をもらい、ファンは応援に行き試合観戦を楽しむというのが一般的です。もちろん海外にも同じシステムは存在しますが、もう一つスポンサーに頼らないシステムで存続するプロチームがあります。

それは地域住民の参加で成り立つ会員制スポーツクラブの代表チームです。ここでいうスポーツクラブとは日本のように立派な施設があり、そこにお金を払い運動させてもらうと言ったものではなく、スポーツを楽しむために人が集まるスポーツコミュニティの事を指します。

では、スポーツコミュニティとは何なのか?簡単な例をあげれば小さかった頃の私達や外で元気いっぱい遊んでいる子供達はスポーツコミュニティを持っていると言えます。
誰かがサッカーボールを持っており、近くに広場がある。大きな石やカバン、木の間をゴールに見たててサッカーをする。暗くなったら「また明日学校が終わったら~」と言って帰り、次の日も集まる。そういった経験をしたことある人も少なくないと思います。これも一つのスポーツコミュニティだと言えます。
あいにく子供は飽きるのが早く、長く続きはしませんが、こういったコミュニティを大人が管理して存続させて行くというシステムが会員制のスポーツコミュニティです。ここには利益を考慮したりなど、そんな小難しい問題は存在しません。ただ純粋にスポーツを楽しむと言った目的で人が集まります。

それではなぜ楽しむために人が集まるのに、そこにプロチームが生まれるんでしょうか?
それはとてもシンプルなことであり、ただ純粋に人は自分の実力を試したくなるものであるからだと私は考えています。”できない”ことが”できる”ようになることに人は喜びを感じ、ある程度の形が出来てきたら、それを試してみたくなるものです。そのために地域の小さな大会に参加したりする機会が増えてきます。
ここまでは普通のスポーツサークルとはさほど変わりはありませんが、違いは、人が多く、流動的であるという点です。理想の形である永続的なスポーツコミュニティを例にとりますが、地域に住む人がスポーツを楽しむ目的で集まり、そこに自分の子供を連れてきて遊ばせる。そしてその子供が大きくなり自分の好むスポーツチームでプレーする。そういった流れが海外のスポーツコミュニティには存在します。
あとは自分がかつて所属していたチームに子供が所属し、そのまま地域リーグ、県リーグを勝ち上がって行く(結果が出るのは子供の子供、またその下の世代になるかもしれませんが)、するとどうでしょうか?それだけ思い入れのあるチームであれば応援に行く人も少なくないはずです。自分の子供ではなくても好きな人は応援に行く人もいるはずです。

この規模がだんだん大きくなればヨーロッパのクラブチームのような勝ち上がれば地域が盛り上がるシステムが出来上がるのです。そして会員が増え地域も盛り上がって行けば、クラブも豊かになり、プロ選手やプロチームを持つことができるようになります。このシステムをSOCIO制度と言い、実際にヨーロッパにはこの制度を取り入れたクラブが数多く存在します。

かなり理想的な形で説明をしましたが、この制度をうまく導入出来ればスポーツコミュニティが永続的に存続可能になると言えます。そのためにはその地域に住む人たちのこのシステムに対する理解とスポーツに対する考え方を変えて行くことが必要です。

スポーツは楽しむもの。誰もがどのスポーツを自由にプレー出来る。そういった環境づくりとその様に人のスポーツに対するイメージが変わらなければ今の日本での実現は難しい、というのが現状です。