日本と海外スポーツ

日本と海外のスポーツ文化における大きな違いは、日本では一人単一種目のスポーツが主流であり、海外では一人で多種目のスポーツを楽しむということです。一人単一種目のスポーツ文化がもたらす問題に疑問を持ち、地元にも海外と同じようなスポーツ認識を広めたいという思いから、海外のスポーツとコミュニティを実際に見て周っています。帰国後は人が自由に集まり、子供達は自由にすぽスポーツと関われる環境作りの活動を進めていければと考えています。

一人単一種目(日本)・・・
このスポーツ文化が日本に根付いている一番の原因として部活という文化があげられます。中学・高校だとそのタイミングでは基本的に一種目のみのスポーツを選び練習に勤しんでいます。この時コーチはその学校の先生という場合がほとんどであり、スポーツに対する正しい知識を持っていない人が指導をしているという状況が少なからずあります。
一人多種目(海外)・・・
海外には部活という概念が強くなく、基本的に一般のスポーツクラブに通い好きなスポーツを楽しんでいます。そのため例えば月水曜日はテニス、火木曜日はサッカーを学ぶといったような、または季節によってプレイするスポーツが変わるなど、同時期に複数のスポーツを楽しむ場合がほよく見受けられます。

日本スポーツ文化の問題点

【子供のスポーツに対する関わり方】

子供のうちからスポーツに力を入れ過ぎてしまい、まだ成長過程の身体に負担が掛かり大きな怪我をしまう子供の話をよく耳にします。また、怪我をしたり大会である程度の成果を出した子供がそれ以降の目標が見つからずやる気を失ってしまう(燃え付き症候群)子供は少なくないようです。部活などの練習の中でも・正しい知識を持っていない方による間違った指導方法(例えばたった10数年前でもウサギ飛びや練習中に水を飲んではいけないなど)が行われており、教職員が部活の指導を請け負う事も問題視されています。また教職員にとっても、部活との関わりはボランティアのようなものなので仕事の負担にもなっているようです。

【日本のプロスポーツ】

日本のプロチームの在り方としてはスポンサーを募って広告塔としてプレーしているのが今の主流です。このスポンサーに頼ったプロチームの在り方というものにはいくつか問題が生じてます。それは日本のプロチームの存続はスポンサーの経営状況に大きく関わって閉まっているという事です。スポンサーが倒産した場合プロチームも無くなり、そのチームに加盟していたプロ選手やチームを応援していたサポーター、またはその地域などに大きな影響がで出てしまう場合があります。 その点海外のプロチームにはスポンサーを募る以外の別の経営方法が存在しており住民が会費を出し合い、その会費の上でプロチームという組織が成り立っています。正確にいうと会員が会費を払いスポーツクラブに通い、そのスポーツクラブのトップチームがプロチームとしてプレーしているのです。例えばサッカーで有名なFCバルセロナもそういったスポーツクラブの一つです。FCバルセロナの下には下部組織としていくつもの多種スポーツのクラブが存在しています。その為皆さんもご存知のようにヨーロッパ人には熱狂的なファンが多く、自分のクラブチームが試合に勝つとみんな揃って大盛り上がりするわけです。

こういった地域との繋がりを強く持ったプロチームは日本には少なく、プロチームのみが先行してしまい地域がついて行けてないというパターンは少なくありません。

 

求めるスポーツ環境

【様々なスポーツに触れられる環境】

人には神経や身体が成長しやすい時期というものが存在するというのをご存知でしょうか(スキャモンの成長曲線)。その時期に何をしてどれだけ体を動かしてきたかによって、生涯における身体能力に大きく影響が出てくるのです。例えばサッカーばかりしていた人はものを投げたり打ち返したりする事が苦手で、野球をしていた人は物を蹴るという動きが難しく感じると思います。これは神経の発達具合による違いであり、脳と体を繋ぐ神経をどれだけ使ってきたかによって変わってきます。またこの点から言える事は運動神経は遺伝ではないという事であり、親が運動好きであるのであれば子供と運動をして遊ぶ機会が多くなるが、親が運動が苦手であれば子供とスポーツをして遊ぶ事は前者より少なくなってしまうかもしれません。そのため神経の発達具合に差が出てしまい、運動が出来ないというのは遺伝からという間違った解釈が広まっているのが現状です。。 もし日本にも手軽に様々なスポーツを楽しむ環境があれば子供は身体全体のバランスの取れた神経作りができ、将来的にも様々なスポーツに対応する事が出来るはずです。またその地域に住む子供達全体の運動能力向上に繋がってくると思います。

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【スポーツを通して人と人とがつながる環境】

日本にはクラブハウスでくつろぐという概念があまりありません。運動してシャワー浴びて着替えたらすぐに帰るというパターンが多いんじゃないかと思います。しかし海外のクラブハウスでは運動後にお酒や食事を取ることができ、みんなで談笑しながらお酒や食事をた楽しむといったことを毎週の様にしています。またこういったクラブハウスには大人子供関係なく集まり各々がこの場を楽しんでいます。ここに住む人達にとってはスポーツクラブでスポーツをするという事が生活の一部となっているのです。他世代との人の繋がりが少ない現代日本において、このような環境は今後の日本では必要とされていくるのではないでしょうか。

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活動内容

日本でも同じようなコミュニティを実現するには、まずスポーツという概念から変えていかなければなりません。海外ではスポーツという言葉は楽しむという前提の元で広い意味で使われていますが、日本では聞く人によってはキツイなどといった少し抵抗がある言葉に聞こえるかもしれません。

スポーツが出来るからするのではなく、単純に楽しむためにスポーツをするようにならなくてはなりません。

そのような環境を実現するためにはまずはコミュニティから見直していく必要があると思います。そのために各国の人の暮らしを通して根本的な部分から人がどのような環境で「幸せ」を感じとっているのか、そしてスポーツはどのような立ち位置にあるかに重きをおいて各国を見て周りたいと思っています。

今日、日本でもスポーツのあり方が問題視されてお2011年5月には新しくスポーツ基本法が制定され各地域ごとに「地域総合型スポーツクラブ」を設立していく動きがあります。しかし現状は経営困難なクラブが多く、また後継者がいないという点から長続きしないクラブがほとんどです。経営が成り立っている総合型スポーツクラブも一部の人で賑わうだけで本当に地域と密着して盛り上がっているクラブはなかなかありません。そこで帰国後はまずは一つずつ、人びとの生活とうまく関係を持ちながら環境つくりを進めていきたいと思っています。

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