ヒッチハイクマスターに出会って施しを受けた。ヒッチハイク必勝法。

リヨンから南へ。目指す先はpont-du-gardという水道橋がある辺りの街。
カウチサーフィンも無事成功し、あとはそこへ行くだけ。

 

最近ヒッチハイクの調子が良くないので弱気になっており、距離があるからという理由で電車を調べていた。しかし二人で120ユーロとバカ高い。こんな大金は払ってられないので否が応でもヒッチハイクを成功させなければならない。

ちなみに補足だが以前利用していた交通手段であるblablacar(http://www.blablacar.com)にはフランス専門のサイトがありそちらから申請しなければならない。http://www.covoiturage.fr
フランスではちゃんとビジネスとして成り立ってるサービスなので個人認証、カード支払い、電話番号は必須。カード残高が少なく電話も出来ない僕達にとってはとっても痛い事実。そのためblablacarという選択肢が一つ無くなってしまったのである。

 

そして残った手段としては電車・バスかヒッチハイク。今回は運賃が馬鹿高いので必然的にヒッチハイクを成功しなければならないという流れになってしまった。
だけどリヨンは大きな街。Hitchwikiにも情報がたくさん載ってるので多分成功できる。問題は距離だ。

 

最悪宿はairbnbでどうにかなるし、とりあえず考えててもしょうがないのでやってみる。
評価の良かった高速近くのガソリンスタンドで待つ事30分。一台の車が止まってくれた。

英語が喋れずジェスチャーでわかった事は、途中から行き先が違うけどそこまでならいいよという事っぽい。いつも一度高速に乗ってしまえばスムーズだったので、取り敢えず乗ってしまえと乗り込んだのが間違えだった。。。

 

高速に乗ってから中々ガソリンスタンドが見当たらない。止まる場所がない。行きたい方向とは別の方向に曲がってからやっとガソリンスタンドが出てきたのでそこで降ろしてくれた。
このままじゃ反対車線に行かなければいけないのでは?と思ってたけど運転手はここで待ってれば大丈夫だよと何度も言ってくる。

まあ、地元の人が言ってるんだからこの先から何かしら方法があるんだろうと信じて待ってみる。すると若いカップルが2人話しかけてきてくれた。英語もそこそこ話せる。

 

どうやらここで待ってても反対方向にしか行かないらしい。反対車線に行って車を捕まえないとと教えてくれた。まさに思ってた通りの展開。前回の運転手にかなり適当なところで降ろされてしまったようだ。最悪だ。。。

反対車線に行こうにもどこか一度高速から降りて反対側へ行かなければならないのでかなり大変だ。話しかけてくれたカップルも車に乗っけてくれようとしたが自転車を積んでおり、どうがんばっても無理そう。

それならばとこの人たちは周りにいる人達に声をかけ事情を説明しヒッチハイカーの為のヒッチハイクをしてくれた。めちゃめちゃいい人。感謝感激。

 

そして一人のおっちゃんが了承してくれて途中の引き返せる場所まで連れてってくれることに。このおっちゃんは英語が全く喋れなかったけど、持ってけって感じでビールと道路マップを僕らに渡してくれた。ただお金を浮かせたいという不純な動機の為に色々と人に迷惑をかけてしまってる。iPadで十分だとマップを持ち歩いていないのはあまりにも軽率過ぎたと今更気づいた。ヒッチハイクをするからにはある程度こっちも準備はしておかないといけない。

おっちゃんは流石に反対方向には行けないので降ろしてもらってそこでまた3度目のヒッチハイク。完全に変なところに来てしまったのでもうヒッチハイクをする他ない。ある程度大きな街まで行けたらそこから大人しく電車に乗ろうとその時すでに決めていた。そして一台の車が止まり近くの商業施設が集まる場所まで連れていってくれてそこから本日4度目のヒッチハイク。時間が経っててヒッチハイクも成功しているのに距離的には全く進んでいない。もはや悪化している。

そしてここで待つ事20分。一台のワゴンから一人の男性が声をかけてくれた。

 

 

「一時間後またここに戻ってくるから、それでもいいならの乗っていいよ」

 

 

風が強かったが日は出てたので、ここに一時間待つことに決めた。なんだかその人は英語が喋れるし雰囲気がいい人だったから興味があった。

本当に戻って来てくれるのか心配でもあったが、きっかり一時間後ちゃんと僕達を拾いに来てくれた。この人はバルセロナ近くの国境に住んでおり、そこから車を購入するためにリヨンまで出てきたらしい。山岳ガイドをやってるので大きな車が欲しかったらしく、たまたまリヨンで売りに出されてたのを見つけて買いに来たらしい。

行き先はもちろんここから一気にバルセロナ国境付近まで。しかしもう時間も遅く、一気に帰るのは大変なので友達の家に泊まってから帰るのだとか。当たり前のように僕らも一緒に泊まって行くことになった。全く想像もしていなかった展開に戸惑いつつも今日泊まる予定だったカウチホストに連絡して、この人に連れて行かれるままその身を任せた。

 

ちなみにまだこの時点で宿は決まっていない。

 

帰り道に沿いに住む友達に連絡をして、取り敢えず一軒寄り道をして帰ることが決まった。大丈夫そうならそのまま泊まるとのこと。
灯りのない田舎道を進み、迷いながらも一軒の建屋に辿り着く。廃墟のような生活感が感じられないその建物は古くは工場として使われていたらしく、その後改築して人が住めるようにしたのだとか。

正直、人けも何もない場所に連れていかれて多少心配もあった。けどもはやどうすることもできないのでこの人を信じてついていくしかない。
まだ知人は家に帰って来てなかったらしく、暗闇の中をドカドカと建物に入っていく。ドアには鍵が掛かっておらずそのまま中に入れた。

電気をつけるとそこには生活感のある雰囲気のいい空間があった。勝手に家の中を漁ってコップを探し、水を出してくれた。待つ事10分ぐらい。
女性が一人入って来て久しぶりの再会かの様にこの男性と挨拶をかわす。社会福祉の為に働いている人でとても雰囲気のいい人だった。

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ワインやチーズ、ソシソンなど出してくれて色んな話をして盛り上がった。なんだか建物に入る前に心配していた自分がアホらしく思える。そして少しでも疑いの念を持ってしまいこの男性に対して申し訳なく思えた。こういった人の親切を疑ってしまうというのは自分がこういった親切を受けたことが無かったからなのか、とか色々と考えてしまった。
ヒッチハイクを始めて色んな人の優しさに出会い、「優しさ」とは何なのか肌で感じている。偽善ではなく本当の優しさ。今ならハッキリわかる。

 

 

人が優しくなるには人の優しさが必要なのだということを。

 

 

夜回り先生が不良生徒の事を優しさを受けていない可哀想な子だと言ってたのを本当の意味で理解出来た。30近くにもなってやっとこんな事に気づけたなんて笑われてしまうかもしれないけど、自分では本当に気づけて良かったと思ってる。今回の旅はこれからの僕を優しくしてくれた。

 

話はそれたが結局この後女性はまた出かけなければならないらしく、ここに泊まることはできなかった。さよならをして、ここからさらに一時間ほど南に下り次の友達の家まで移動。

かなり小さな街で子供と2人で暮らすこの女性はかつての世界一周経験者。アフリカから南米までボートをヒッチハイクしたというなかなかハイレベルな経験者。今では自宅にアトリエを持ち、小物作りと子育てを両立させて暮らしている。

自分は世界一周中に沢山の人達から助けてもらったから、私もあなた達を助けると言い食事やベッドを提供してくれた。

 

 

「だからあなた達もそういう人がいたら助けてあげればいい。それだけよ。」

 

 

なんだか新しい世界にやって来た様な感覚。衝撃的過ぎる。。。

 

この女性もヒッチハイクをするのでヒッチハイクの話になり、ここまで連れて来てくれた男性がヒッチハイクの極意を授けてくれた。

 

 

「俺も16歳からヒッチハイクやってて最初は親指立ててやってたけど、もうとっくにそのやり方は辞めたよ。ガソリンスタンドで待って直接聞くのが一番だ。そうすれば成功率は70%UPする。」

 

「乗せる側も不安なんだから、直接コミュニケーション取らないと乗せてあげようという気持ちにはなってくれない。ガソリンスタンドも毎25kmごとにあるんだからその距離なら誰だって乗せてくれるよ。」

 

「その手法にしてから5~10分程度で見つけられるし、家(スペインとフランス国境付近)からベルリンまで10時間ぐらいで到着出来てたよ。彼女に会う為にほぼ毎週行ってたし。そうすれば簡単だからうちに遊びに来なよ。」

 

 

またもや衝撃的過ぎる。この僕達に色々とよくしてくれる男性はとんでもないヒッチハイクマスターだった。。。しかも話によると住んでる場所は人口25人で家は12世紀からある家らしい。。。

 

是非ともいってみたい!

 

取り敢えず僕達はpont-du-gardという水道橋付近の街まで行かなければならないので、この男性とはここで分かれることに。

ヒッチハイクの極意を聞いてしまい、なんだか気持ちが大きくなった僕達。あいにく翌日は雨だったが予定通り目的地に向かう。泊めてくれた女性にお礼を言い、傘をさして車通りのある良さげな場所まで歩き、やってくる車に向かって親指を立てる。

 

すぐに一台の車が止まってくれた。子連れの若い女性。

 

英語は喋れないけど快く受け入れてくれた。
後部座席には安全シートに座らされたこの男の子。
この子は将来かならず優しい大人に育つに違いない。

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